うむ、前編だけ

多分RTTさんがやっているようにサーチに登録するようになったらこの隠しは全部外すだろうね。


 その日、S.E.E.S.のメンバーはリーダーを主体としていつも通りタルタロスに昇っていた。
 これからまだ出てくるであろうシャドウ達と戦うために、鍛錬を欠かす事無く戦闘を続けている。


 その日もいつも通りの筈だった。



【いや、マジ実話なのよ】


「あー、疲れた」
「と言うか結構長い間ここの中で戦ってねぇ?」
「確かにな…連戦に次ぐ連戦は堪えるな」
 今回はお小遣いも少ない事だし探索を目的としていたのに、何故かシャドウが見つけたらとにかく寄ってきてもう何十回と戦ったのかわかってない。
『皆さん疲れてますけど、大丈夫ですか?』
 今回は試しに全員で登ってみようというリーダーの提案により、エントランスに風花一人を残してその他全員でいる。
 ちなみに今ここにいる場所も安全な場所ではなく、シャドウがすぐ近くにいてもおかしくない場所だ。
「僕としては一旦戻ったほうが無難だと思います」
「山岸の話では数階上にチェックポイントがある。そうすれば次回来る時が楽になるぞ」
「どっちだっていいじゃねぇか、ここはアブネェンだろ?」
「はい、早めに動かないと敵に補足される可能性は高いです」
「ワンワン」
アイギス、何と言っている?」
「ひとまず休みたい。と申してます」
 次回の事を考えるか、メンバーの消耗状況を考えるか、はっきり言って二者択一。
「で、君はどうするの?」
「そうだな……」
 結局最終的な判断はリーダーによるものだ。全員が彼を見て決定を待つ。
 だがそれも風花の叫びによって中断される。
『皆さん! 敵シャドウ反応が現れました! 数は……そんな!?』
「どうした山岸!? ナビゲーターが正確に伝えないでどうする!?」
 美鶴の恫喝により正確な数。それは絶望的な数を示す。
「チッ、何だってこんなにいるんだよ!?」
「そんな事より迎撃を!」
「ああ分かった分かった!!」
 全員が思い思いに戦うしかなくなる。こうなったら乱戦必須なので、リーダーの判断や風花のナビを聞く前に手当たり次第だ。


 そんな中、悲劇は起こった。


「フッ! ハァッ! デヤァッ!」
 リーダーはエスカリボルグ。違った、撲殺丸を装備して相手の脳漿を叩き潰していた。
 他のメンバーがどうなっているのかは風花のナビに頼るしかない。こればかりは数が多い乱戦では仕方ない事だ。
『リーダー! 順平君と荒垣先輩とコロちゃんとアイギスが回復できていません! 早く援護を!』
「分かった! 四人はどこにいる!?」
 彼ら四人、と言うよりも二人と一匹と一体に共通している事は自己のペルソナで回復手段を持ってない事だ。
 リーダーは風花がナビをした場所へ敵をなぎ倒す。その姿はまさに鬼と化している。
チェルノボグ!」
 利剣乱舞で周囲の敵を一掃し、開けた空間に駆け込むリーダー。そのまま攻撃しながら比較的近くに纏まっていた四人の元へ向かっていた。


 だが、鈍器の最大の弱点は弓と同じくらい攻撃を外しやすい所だった事を彼はすっかり忘れていた。



「あ、開いた空間ゲット!」
 彼が広範囲攻撃で倒した空間を真っ先に見つけた彼女は敵の隙間を縫って走り出していく、ここからなら動かないで敵を狙撃できるだろうと思いながら。
「うおわぁっ!」
 リーダーはとうとう命中率88%に負けた。勢いよく振り上げたものの、シャドウはそれを難なく避けてそのまま彼は大の字に倒れてしまう。
 大の字、そう、大の字。仰向けです。天に仰いでます。


 ここ重要なのでテストに出ます。


 彼はイタタと言いながら体勢を戻そうと試みる。だが、1ターン経ってないのでそれは無理な話だ。
 しかも疲労状態なのでさらに1ターン使ってしまう。


 彼が敵に囲まれていながら動けない状況になっている中、突然辺りが真っ暗になった。
 いや、つーか元々タルタロス自体暗いのであって、その暗さは段違いだろう。
 一体何が起きたのか分からない。自分は倒されていつものイゴールの元へと逝ったのだろうかとかそんな事を思って上を見上げてみると――。




 色が色なだけに桃源郷!!




 某強力御代のような「ぶるぁぁぁぁぁぁ!!」と言う声がタルタロスにこだまする。ちなみに超巻舌。
「何だ!?」
「何が起きた!?」
「一体何だと言うんだ!?」
『どうかしたんですか皆さん!?』
「なにがあったでありますか!?」
「どうかしたんですか!?」
「チッ、何だ今の声は!?」
「ワン?」
 上から順平、明彦、美鶴、風花、アイギス、天田、荒垣、コロマルとなっている。


 当の本人達はと言うと。


 彼女は普通の開けた空間で弓を使って攻撃をしていた。うん、これに関しては特に問題は無い。
 問題は足元で「ぶるぁぁぁぁぁぁ!!」と言う叫び声が聞こえた事だ。



 そう、足元で。
 何度も言おう。足元で。
 厳密には狙うために開いた足の間で。


 彼は普通に戦っていた。攻撃を外して倒れていただけだ。
 そこへ彼女が走ってきてあろう事か自分を跨いでいる状況だ。しかも彼女は気づいてない。


 もうアリス召喚して『死んでくれる?』をされても後悔は無い。
 否、幼女にそんな頼みを潤んだ瞳でされれば誰だってハイ! と答えてしまう。
 故にリーダー、一辺死んできます!!




「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
 突然タルタロスに響き渡った一人の女生徒の声と共に彼女の周囲にいたシャドウは彼女得意の疾風系魔法によって吹き飛ばされていく。
 ちなみにリーダーの付けているペルソナ、チェルノボグはしっかり疾風弱点だったりする。
『ああ、リーダーが何故か瀕死状態です! それとゆかりちゃんが混乱してます!』
「何があったお前ら!?」
 挙句の果てに彼女、ゆかりは禁忌を犯す。
 ペタン。
「ぶふぅぅぅっ!!」
『ああ、リーダーが鼻血と欲望の海に溺れてます!』
 今は死んでしまった父さん、母さん。俺、一緒に逝ってもいいですか?


 NONONONO.


 もしかしてオラオラですかーーー!?


 YESYESYESYES. OH MY GOD!


 死は、ふいに来る狩人にあらず
 もとより誰もが知る…
 生なるは、死出の旅…
 なれば生きるとは、望みて赴くこと。
 それを成してのみ、死してなお残る。
 見送る者の手に”物語”が残る。
 けれども今、客人の命は潰え、しかし物語はこの手には残らず…


 リーダーはその後、自分の顔面にしゃがみ込んでしまったゆかりによってガルダインの嵐を受けてしまいましたとさ。
チェルノボグのバカァァァ!!」



・実話とは
プレイ中に本当に起きた奇跡を脚色し、ちょっと場面変換しながらも付け加えてみる。
明日にはこれの後編、通称軍事裁判が待ってます。