第36話(最終話)『心からの…』

泣いても笑っても最後。
月面の穴から戻ってきたメンバーの前にやってきたのは、地球全土からの救難信号。
向こう側の地球がそうだったように、こちら側も同様に天変地異に襲われていたのだ。
そして、大空魔竜は向こう側の地球へ、アークエンジェルはこちら側の地球に対しての救援活動を行いながら、残り十日となるル=コボルの宣言である時間を限りなく有効に使っていた。
しかし、まだ連合はオーブとプラントに対して協力を要請出来てなかった。やはり今までの事を考えると、どうしてもしづらい面があったのだろう。
だがそれも、ユウナとミーアがそれぞれオーブ、プラント代表として、全面的な協力をすると言ってくれた。なんだ此奴ら、格好良すぎる。
その一方で、ル=コボルに対しての対策をサコン先生は考え、計画を立てていた。
その一つとして、ファフナーに突いているジークフリード・システムを応用した装置。これを味方全機の機体に取り付ける事。
もう一つはスターゲイザーに突いているヴォワチュールリュミエールを応用した装置。これを大空魔竜に搭載させる事。
最低限の条件としてこれらが存在していた。
数日後、大空魔竜が到着した。しかし、その直前にメガロポリスに行き、何かを受け取っていた模様だった。


その頃、格納庫では非戦闘要員である皆がメンバー全員にマフラーを作っていた。
偶然にも、全員の心が一つになる事を要する作戦で、全員分の準備が間に合った。
ただし戦いの道具として使わせるつもりはなかった。あくまでもみんなへのプレゼントとして。それだけの為に。


だがそれも猶予期間が残り僅かとなった時、終わりを迎えた。
完全に準備が整わない中、天変地異により地球が限界を迎えていた。
残り僅か、それも下手すれば数分という状況の中、最終調整もまだ済んでなくテストも当然行われない中、戦うしかなかった。
完成まで時間を稼ぎつつ戦う。


全ての力を使い、ミストとアンジェリカは仲間全員の思いを共有し、ル=コボルを撃破した。
そして、脱出カプセルからは隊長本人が生きていた。何故生きていたかは定かではない。
しかし、肉体を捨て、精神体となったル=コボルはまだ生きていた。
今度はクリスタル・ハートのアンチシステムとして開発されたクリシュナ・ハートを使用した機体、アルケウスに搭乗し、最後の戦いを挑んできた。


もう一度とどめを刺そうと、リグレット・バスターを撃つも、やはり無傷。
それでもル=コボルを撃墜するも、決め手となるものがなかった。
そこで考えた。
二人の命を投げ出さない手段を。
仲間達だけの思いが足りないのなら……。


全ての人間の思いを届ければいい。


そんな手段……あった。
プラネッタ。オーバーマンにして伝心のオーバースキルを持つ。
Zでも波乱を巻き起こした大告白大会を仕組んだあのオーバーマンである。
あれを手に入れる為に一度メガロポリスに行っていた。
しかし、それは当然のことながら、聡士に対して全人類の思いを受け入れさせるという多大な負担を強いる事となる。
それでも聡士は選んだ。
全ての仲間の決意と、二つの地球に住む全ての人々の決意が――。
その全ての人々の思いを受けて、破壊の権化を葬る時がやってきた。


しかし、聡士の身体は限界だった。
彼の身体は既にほぼ結晶化していた。そして消滅し、心だけが残った。


月面の穴にいたタングラム達は、元の世界に戻る事になった。
しかし、バーチャロイドの義務として、元の世界に戻ったら必ず記憶をデリートされなければならなかった。
それでも、彼らが今ここでこうしている気持ちが本物だし、出会った過去があるから、それだけでも彼らにとっては十分だった。
ハッター軍曹の最後の別れ方は反則だろ……。



ゲイナー達は、一旦中断となっていた(日本にゲートを経由して飛ばされた)ヤーパンの天井をのエクソダスを再開させる事となった。
しかし当然アスハムは犯罪だと言って止めようとするが、そもそもアスハムは既に止められる立場ではなかったので、逆にゲインの説得で引き込まれました。
その後、祝勝会という事で乾杯をしていたが、ゴオちんは裸踊りをしていたそうです。さすがゴオちん。


一年後……。
司馬博士に連れられた甲児は、助手扱いとして発掘の手伝いをさせられてました。
そして、剣児の方は立派にバイクチームのリーダーをやってました。
何故か葵博士がレースクイーンを体験していましたが。……うん、ゴーダンナーのメンバーがレースクイーンやったら死者続出だろ……。
ちなみに旦那さんは運転手としてその様子を見ていました。さすが博士。
そして、一年の月日を経て、大空魔竜は宇宙へと行きました。今度はダリウス人が移住する星の調査を探しに。
その見送りに行こうと思っても忙しくて行けなかった吉良とラクスの代わりに、カガリが行きました。
ちなみに、キラとラクスはそれぞれ連合、オーブ、プラント合同の防衛隊の組織を作る為の根回しを行っている真っ最中です。
カガリはユウナに任せて見送りです、サボってます。やっぱりカガリです。
しかし、竜宮島のメンバーは、一騎が倒れた――同化現象が進行した事により、一時入院となっていた。既に一騎の眼は両目が赤くなっていた。
その間も既に進行が早まり、とうとう目が見えなくなるフラグが立つ中、真矢も同様に目に違和感を得るようになっていた。
一方、ダンナーベースでは久しぶりの大型の擬態獣が出現し、世界各国のベースに所属しているメンバーが集まって戦っていた。


その頃、もう一つの地球では、エルドラのお爺ちゃん達がヤーパンの天井で護衛をしつつ、毎日酒を飲み食いしていた。
ちなみにやっぱりアスハムもヤーパンの一員に。それどころかプリシラやシンシアも一緒でした。
更に言えば、実のところシベ鉄からすればヤーパンの天井のエクソダスはむしろ応援側になっていた。最終決戦の最にキッズ総裁にもマフラーをプレゼントした事からだそうだ。現金だなお爺ちゃん。
そして、ズーリの城ではラ・カンが久しぶりに戻っていた。そしてミィ様も髪型を変え、キタ藩を再興させる宣言をする為、祝賀会を開く事になったのだが。
やっぱりミィ様はどこかへ出かけていました。
そしてミロード村では、ソラノヒトの技術によりジェネレーターも復活しました。そこにはザイリンやブッチ博士もいたり。
それと同時にランスタッグが村に着いたかと思うと、ミィ様は立派にルージ君にツンデレしていました。ツンデレ万歳。
ついでに、やっぱり抜け出ると分かっていたので、ラ・カン達も揃ってミロード村にいます。
更に言えば、行き倒れの人間が。
誰かは言うまでもなく、童帝だった。


場所は戻って元の世界、新たな防衛隊を築き上げたオーブに、エルリックを隊長に迎え、メンバーが一堂に会していた。
まぁ、当然メンバーは殆どがイディクスと戦ったメンバーなんだが。
有志を募ったら彼らしか来ませんでした。まぁ、力不足を痛感されるからな。


ちなみに、ミストはもういちゃついていたんですが、よりにもよってお父さんに通信が筒抜けでした。
うん、最後までミストはミストだよ。