第二次Z第49話『虹』

前の話のラストで南極にイマージュが大量発生した。
それを聞きつけてZEXISは南極に向かっていた。
その最中、刹那は自分がソレスタルビーイングガンダムマイスターになっていた事を思い出す。
初めて他のマイスターと出会った時の事。すなわち、このマイスターのアニキ分と会った時の事を。
一方、ZEUTHのメンバーで感受性の高いものを中心に、イマージュの事について話し合っていた。
かつて同じような姿形をしていたコーラリアンと戦ったZEUTHならば、イマージュの考えている事は分かっていたのだ。
イマージュは心を持ち、人間の事を知りたがっている。
それを滅ぼそうとするのは、答えは一つ。
人間に絶望したから。
もしかしたらイマージュとは、前作で別の世界に旅立った後のコーラリアンかも知れない。
インペリウムにせよ、アレハンドロにせよ、この一連の戦争は様々な人間のエゴが剥き出しになっていた。だから見限られても仕方のない事だ。そう考える大人もいた。
勿論ZEUTH,ZEXISのメンバーはそれを由としない。
そう結論付いた時、刹那はもう一度立ち上がった。
自分達は存在する事に意義がある。
存在する事とは、即ち生きる事。亡くなった者達の思いを背負い、世界と向き合う事。他ならぬ自分の意志で。
ロックオンが死んだ事はソレスタルビーイングのメンバーを中心に、何らかの影響を与えた。
それでも、前を進まなくてはならない。
そうやって立ち上がってきた姿をエルガン代表は見て、ゼロは確信した。
この男の言葉には嘘はない。平和を願っている事には間違いないと。それでも何とも言えぬ不安要素はあるが。平和以外の何を見ているのかと。
そしてエルガンは、ZEXISを独立行動部隊として新たに認めた。
彼らの行動の自由を保証するものとして、世界と人々の為に戦い続けてくれる事を願って。
その代表者は、他でもなくゼロ。
彼が今後の名目上ZEXISのリーダーとなり、必要であればメンバーの招集を行う事になった。
勿論ゼロ本人も、日本奪還にZEXISを動かすような事はしない。
今のゼロにはやるべき事がある。


南極へ行き、イマージュを止める事。


一方、アイムと通信をしていたホランドは、お互いに一切信用していない手の組み方だった。
アイム達はホランド達の長年の計画を些末な事とし、援軍は送るがそれ以上は何もしない事を告げると、通信を切った。
ホランド達の神話を再生させる事は、出来ないのだろうか。


何十体もいるイマージュの合間をくぐり抜けていると、まさかのグラハムがこのタイミング。
でも御免、刹那は出撃してないんだ。
そして同じく現れるホランド。スーパーパックを搭載してやってくるが……。
タルホの中にはホランドとの子供がいる事。そして、その子供の成長速度は通常の人間とは変わりない事が判明していた。
別の世界に行って成長が止まれば子供は永久に生まれなくなる。そして、彼女が生みたいと願っていた。
それだけで、ホランドは動きを止めていた。


それを茶番だと罵るアイム。現れたシュバルとマルグリット。
既にマルグリットが嫌々戦っている事に気づいているクロウは、まずアイムを引きずり出す為にシュバルを落とす。
彼の口から語られるのは、やはりシュバルとマルグリットはかつてガイオウによって滅ぼされた世界の生き残りである事。
騎士としての誇りをまだ持つマルグリット。滅ぼされてしまった以上、生き残る為には泥水を啜ってでも生きる事に執着しなくてはならないシュバル。
どちらも正しく。どちらも間違っていた。
用済みだとマルグリットを消そうとするアイム。
彼――シュバルは、そう見せかける事でマルグリットを守ろうとしていた。
同胞を守る事。只それだけの為に、彼は騎士としての誇りを捨てた芝居をし、そして、その心はガイオウが食らうに値する心だった。


こうして、新たな次元獣が生まれた。


やはり、以前想像した通り、次元獣とは人間だった。
具体的にはガイオウに破れた者と機体が変化したもの。
即ち、次元獣とはインサラウムのいた世界の戦士達だった。


まだやるべき事が残っているガイオウは下がり、代わりにアイムとの決着の瞬間が訪れようとしていた。
興奮しているのか、最早支離滅裂のアイム・ライアード。嘘つきの名を冠する男。
勿論ラストはクロウ・ブルースト!
VXの一撃を受けて清心まで壊れ果てたアイムを、ある男は本質を述べた。


アサキム・ドーウィン。


悲しみの乙女は目が見えなくなり、痛みの獅子は激痛に襲われ。
そして、偽りの黒羊の力の源は、人間の『嘘』。覚醒が進めば所有者は正しい事、即ち、意味のある事を喋れなくなる。
そうやって、アサキムは偽りの黒羊のスフィアを奪った。
彼は元々はどんなのだったのだろうか。最早それを知るのは居るのだろうか?


そして、本来の目的であるレントンエウレカは、イマージュの核に辿り着いた。
この世界には恐怖と憎悪に満ち溢れているが、それでも人間の持つ優しさに触れているエウレカは、イマージュを説得する為に自分自身をイマージュに引き渡した。
そう、全ての記憶を……。
その時、ニアが、ランカが、祝勝会で一緒に歌ったアイモを歌い始めた。
失われたものは戻せないけど、今自分達に出来る事は、彼女と共有出来た記憶を渡す事だから。
そうして、みんなで歌っていると、エウレカの心が戻ってきた。
ああ……レントン、良かったね。
こうして、イマージュとの戦いは決着が付いた。


後はインペリウムだけ。
グレート・アクシオンが消息を絶ち、居場所はようとして知れなかったのだ。
しかしそんな時に現れたのはトライアと、まさかのカルロス。どうやら命からがら逃げる事に成功したようだ。


一方、ガイオウはこの世界に来て様々な存在と出会う事で、殆どの記憶を取り戻しつつあった。
向かう場所は陰月。そこには彼の最後のピースが存在したのだろうか。