半年経って

あの日の出来事は今でも覚えている。
俺の住んでいる場所でも震度5以上は叩き出されてかなり揺れ、当日は深夜帯までずっと停電に見舞われていた。
揺れには揺れたがそれ程大きな地震ではないだろう。そんな楽観視があったのかもしれない。
否、希望的観測だった。
今にして思えば当たり前の話だ。そもそも家の中にいて危ないなと思った時点でどこかしら――それこそ自分の家の近くが震源地でない限り震度が大きい場所はあった。
そんな震災から既に半年。気がつけばこの国もあの日以来大きく様変わりしたと思う。個人的には。
頻発する地震に怯える日々。節電の影響。浮き彫りになった様々な問題点。
正に半年前はターニングポイントなのだろうな。負の意味合いが強い。
今まで当たり前にしてきた贅沢が、気がつけば当たり前でなくなった。
つい先日ようやく電車のダイヤもほぼ通常通りに戻り、ある程度は元の世界に戻りつつあるのかも知れない。
そう思う事で、今は平静を保っている。
半年。たったそれだけなのに、沢山の事態に見舞われた。沢山の人が亡くなった。
それでもまだ自分は平々凡々と生きている。
その事に一度くらいは感謝しておくべきかも知れない。