第2次OGプレイ日記第52話『私にさよならを』

ルイーナが占拠した基地には、やっぱりコンターギオがいました。
イグニスには話してないが、もしもイグニスとコンターギオが敗北しても打つ手はあった。
もっとも、それはイグニスの目的であるグラキエースを近づけさせないという目的とは相反するのだが……。


基地の地下格納庫には、ウェントスと、そしてグラキエースがいることは二人とも感じ取れた。
ジョッシュは考える。
彼女は自分を殺そうとしている。
だが、その一方で、いびつな形で縛られたままの彼女の魂を解き放ってやらなくてはならないと、自分の中で訴え続けていた。
それは自分の意思なのか、それとも彼女の意思なのか。


いや、どうでも良かった。


もう一度彼女に会わなくては。
ただそれだけの為、ジョッシュは先へ進んだ。
立ちはだかるイグニスの本気を知ってでも、それでも。
何故イグニスは自分がこれだけこだわるのかを知らないままに。


どうにかコンターギオとイグニスを退けたジョッシュ達は、格納庫に入る為にパージして二人だけで先へ進んだ。
グラキエースとウェントスは、確かにいた。
ここでようやく、ジョッシュはグラキエース達メリオルエッセの歪な感情を理解した。
憎悪させ、恐怖させ、死をもたらすのに、自分たちはそれらに関する感情も、悪意も持ってない。
例えそのように作られたとしても、その歪さを、シュンパティアを通じて感じ取ったジョッシュの心を見て、理解はしていたはずだった。
共感したことで、共有してしまった意識の中で、その歪さから解放されることを望んでいた。
それがジョッシュの意思となって、ジョッシュ自身を動かしていた。
彼女に対して何らかの感情を持ったのか、それはもう分からない。
お互いがお互いに自分自身とほぼ同等の意識のリンクをしてしまった為に、今突き進んでいる感情はどちらが最初かなど、分からなかった。
だが、そんな事はどうでもいい。
経緯はどうであれ、助けたいと思う気持ちには変わりない。
ならば……。


しかし、それをコンターギオは許さなかった。
壊れたと判断し、グラキエースとウェントスを廃棄することにした。
基地を自爆させることで、一番の障害となるシュンパティアの使い手を排除しようとした。


ジョッシュ「こちらジョッシュ! 基地が自爆する! 直ちに離脱を!」
カイ「今からそちらに行く!」
ジョッシュ「ダメです! いつ自爆するか、わからないんだ! 早く基地から脱出して下さい!」
カイ「お前達はどうする!?」
ジョッシュ「何とかしてみせます! 以上、通信終わり!」


分の悪い賭けにも程があるぜ……。
だが、自爆するとグラキエースから伝えられたことで、一つの確信に至った。
彼女は死を恐れている。
自爆することをジョッシュに伝えなければ、確実に自分たちは消滅するはず。
にも関わらずそれを教えた。
心のどこかで助けられることを求めていたから?
それもまだ分からない。
だけどジョッシュは既に動いていた。
グラビティ・ボードを全開にしてグラキエースのファービュラリスに取り付くと、彼女を基地から連れ出そうとした。
自分たちの親父が原因で始まったのなら、自分が何とかしなくてはならないから。
それはウェントスも同じだった。
どれくらいで爆破することを教えたウェントスは、リムに助けを求めていた。
二人は人間とリンクすることで、別のせいへの可能性を知った。
だから、リアナは賭けに出た。


だけど、その余波を受けて……クリスの魂がなくなった。


ジョッシュとリムは目を覚ました。
気絶していた彼らを助けたのは、他でもなくグラキエースとウェントスだった。
彼女たちは、お互いに同調した人間の心の欠片を受け取った。
だから、人間になれる。それがジョッシュの答えだった。
勿論、今まで戦ってきた人間ではないメリオルエッセの幹部達をそう簡単に引き入れるには、仲間の気持ちの整理が追いつかなかった。
ただ、彼女たちから破滅の王――ペルフェクティオの事が朧気ながら理解出来た。
今はウェントスがいなくなったことで破滅の王の復活は少しだけ送らせることが出来る。
それに彼らの機体は南極の結界を通り抜ける機能を持っていた。
それぞれがまだ完全に納得できたわけではないが、手段を選んでられなかったレフィーナ艦長は、二人を引き入れる命令を出した。
何かあった時は討つ。それを確約させた上で。


最後に、リムは自分の中にいたクリスとリアナのことについて洗いざらい話した。
今のクリスはどこにもいない。
消滅してしまったことも含めて。


一方、ドゥバンはミッテ先生の口からイデアラント・プロジェクトの真実を知った。
自分たちイデアランツの寿命について。
それでミッテ先生は手を組まないかと誘うが、ドゥバンは断った。
それが真実であれ、まずは本当であるのか、何故自分たちは生まれたのか。それを知る必要があったからだ。